瀬戸内国際芸術祭2013-もう見れない!過去の作品の感想①-小豆島

もう見れなくなってしまった瀬戸内国際芸術祭2013、小豆島の作品の感想です。

 

醤の郷/坂手周辺

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瀬戸内国際芸術祭2013公式ガイドブックより

081.醤油倉庫レジデンスプロジェクト:織咲誠/小山泰介

元倉庫だったところに、アート(織咲誠)と写真(小山泰介)を展示。始め、壁面に飾られた大きな写真にばかり目が行き、部屋のところどころに立っている白い柱に目が行かなかったが、それらもよく見ればアートであった。写真の方は七色の写真シリーズと醤油の拡大写真シリーズ。普段見えているものが、拡大することによって全く違うものに見える、説明がないと"それ"が"それ"と分からない、そういうちょっとした驚きみたいな作品。

アートって何なの?っていう人がいるけど、他人の目から世の中がどう見えているか、どう感じられているのか、何に注目しているのか…それを見て興味深い、面白いと思わない人は、きっとアートって面白く無いんだろう、と思う。

083.小豆島町コミュニティアートプロジェクト:小豆島町民+山崎亮+studio-L

場所が醤の郷だけに、醤油を使ったアート。お弁当に入っていた醤油とかソースのプラスチックの1回使い切りの容器に、濃度の違う醤油を入れて、濃淡をグラデーションになるように、壁面いっぱいに並べた作品。

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茶色の濃淡は醤油の濃淡なのだ。

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小豆島町民が製作に参加している。容器に醤油を入れただけじゃ、アートでは無いけど、それらに濃度で色を変えて、大量に壁いっぱいに並べた…その時点で見る人の心に動きや変化が起きる。見に来た人は、???と思って遠くから見て近くから見て…。

086.小豆島のカタチラボ:graf

醤油の匂いが漂う通りの折り返し地点の元民家にて、小豆島の気になるカタチを取り上げて展示。例えば、島の断面や、島で聞こえる音、映像。(暑さと空腹であまり鑑賞に集中できていない。)ただ、やはり、島の元民家という都会に住む人間にとっては非日常の不思議空間で、展示を見るだけでも面白いと思うのは私だけか?逆に島民が都会に来たなら、我々の日常は非日常で面白いと思うのだろうか?それとも人が多くて息苦しいと思うのか。

ところどころ足早に過ぎているところがあって、勿体無い。芸術鑑賞は感じることが目的だから、感じ、そして余韻も大事にしたいので、それなりに時間が必要なのに、計画にそもそも余裕がない。

三都半島

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瀬戸内国際芸術祭2013公式ガイドブックより

065.つぎつぎきんつぎ:岸本真之

三年前に見逃した作品。お皿の端を欠いて、何枚かのその部分を金でつなぎあわせて(金つぎ)ボールやタワー状になったものが幾つも集められて展示されていた。暗い部屋でスポットライトを浴びて、金を使った作品なので、展示の仕方も作品をより美しく見せている。

066.讃州土産巡礼:小山真德

失礼ながら、時々アートなのか?ガラクタなのか?と疑問に思うような少し汚い作品があるが、この作品はそれで海で見つけた漂流物(ゴミ)を展示しているのだから、そう思われても已むを得ない。未だにそれが何なのか理解していないが、小豆島で有名な八十八か所巡りをし、その旅で見たもの(映像、漂流物)、感じたこと(日記)を展示した作品。金田一耕介の八つ墓村のようなおどろおどろしい感じがしてしまうのは、白装束、笠等の衣装のせいだろうか。

071.花寿波島の秘密:吉田夏奈

雑誌にも載っていて、人々が目当てにしていた作品。中央に潜って見上げるか、上に登って見下ろすか?…見下ろした方が綺麗だったかもしれない。 私は、一人づつしか上にいけないシステムで人がいたので諦めてしまったけれど。あんまり近距離に人がいると人が気になって鑑賞に集中出来ない。

076.小豆島Story of the Island:東京藝術大学プロジェクト

います:山田沙奈恵

8畳位の床一面の紙に一方向の線(シャーペン)の濃淡だけで表現した作品。中央には鏡を意味する銀色のお皿が置かれている。こういうシンプルな作品は、不思議と印象深い。見た人が想像する余地がかなりあるからか。

074.stories-House-:赤坂有芽

薄暗い民家の中で、鯉、少女、水etcの映像が、襖、床の間の掛け軸、畳に映し出される。

070.神様のおなら:臼井英之

海に神様のオナラ、泡(あぶく)が浮き上がるアート... だったが、昼夜、人が近づかないようにする等の管理が難しい為に、私が行った時は海から装置が撤去されてしまっていた。海沿いにある撤去された装置と説明文を見て、少しかなしく、残念だった。こういう場でのアートは維持するのも人の協力あってのもの。色んな考えの人が共棲しているのだから、否定的な人、協力的でない人もいてアーティストの思いが通らないこともある、のは分かるのだけどアートファンとしては少し寂しい。

近くの休憩所で撤去前に撮った映像が見られた。